①日本経済:底堅さと先行指標の矛盾
設備投資の動向が月例経済報告において、日本経済の底堅さを示しています。しかし、一方で先行指標とされる機械受注が減速傾向にあることから、短期的な経済活動の足元には不確実性が存在します。
②中国の地政学リスク:多国籍企業のリスクヘッジ戦略
中国の地政学的リスクへの対応として、欧米の多国籍企業が中国事業分離・別会社検討の動きを見せています。特に、英製薬大手アストラゼネカが先駆けとなり、リスクヘッジの新たな方向性を示しています。
③世界景気の減速:指標と市場の反応
ダイヤモンドの価格が二年ぶりの安値に落ち込む一方、市場では米景気の減速から1回だけの利上げを見込んでいます。また、世界の粗鋼生産が二ヶ月連続で前年を下回っており、世界経済全体の鈍化を示唆しています。
④株式市場の現状と展望:テクノロジーセクターの影響力
ナスダックにおけるハイテク7社の時価総額シェアが55%と高まり、昨年末からナスダックがプラス27.4%、S&Pがプラス8.12%、一方ダウはマイナス1.2%というパフォーマンスを示しています。これらのハイテク株偏重の株高が日本株に影響を及ぼしており、特にエネビディア関連銘柄アドテストと東京エレクトロンが相場を牽引しています。しかしながら、利上げによりハイテク株が下落する可能性が存在します。
⑤トルコ中銀の金融政策:エルドアン氏の影響力
トルコ中央銀行の利上げ幅が市場予想を下回った結果、失望感からリラが急落しました。政策金利は15%に設定されていますが、経済の正常化には40%が適正と見られています。この背景には、エルドアン氏が金融政策の決定権を握っている事実が影響しています。
執筆 らいと証券アドバイザーズ株式会社
代表取締役 辻本 和也
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