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中国の不動産市場悪化による懸念


中国の不動産市場は、政府の規制強化や新型コロナウイルスの感染拡大により、深刻な低迷に陥っています。住宅販売や着工が大幅に減少し、不動産開発企業の資金繰りや債務不履行が問題となっています。これにより、銀行の不良債権や住宅ローンの返済拒否が増え、金融システムにも悪影響を及ぼしています。また、地方政府の財政も土地使用権売却収入の減少により圧迫されています。不動産市場は中国経済の重要な部門であり、その苦境は経済成長や雇用にも打撃を与えています。


中国の不動産セクターはこの20年間、民営化の波で開発が進み、活況を呈した。しかし、2020年に危機が訪れた。新型コロナウイルスのパンデミックと国内の人口減少が、急ピッチの住宅建設に水を差した。

アメリカで2008年に起きた金融危機のような事態を恐れた中国政府は、開発業者の借り入れに限度額を設けた。やがて開発業者は巨額の負債を抱え、返済できなくなった。

現在、住宅需要は低迷し、不動産価格は急落している。これにより、中国の住宅所有者は経済的に苦しくなっている。


経済モデル


不動産危機は、中国経済の仕組みをめぐる問題も浮き彫りにしている。

過去30年間の驚異的な成長は、あらゆるものを建設することで推進されてきた。道路、橋、鉄道工場、空港、住宅などだ。こうした事業は地方自治体の管轄だった。

しかし一部のエコノミストは、この方法は比喩的にも文字通りの意味でも行き詰まりつつあるとしている。


中国の建設依存の一例は、ミャンマーとの国境に近い雲南省で見られる。同省当局は今年、新型コロナウイルスの隔離施設を建設する数百万ドル規模の計画を進めるとした。

多額の負債を抱える地方自治体は大きなプレッシャーにさらされている。今年に入ってからは、建設計画の資金調達のため、土地を自らに売却する自治体が見つかったと報じられている。

中国が建設するものには無駄遣いとなってしまうものが少なくない。国民に繁栄をもたらす別の方法を見つける必要がある。

もし中国が金融部門で経済を活性化させ、欧米と肩を並べようとするなら、中国政府はたとえばまず大幅に規制を緩和し、多くの権力を民間に移譲する必要がある。

だが現実には、反対のことが起きている。中国政府は金融部門への締め付けを強め、「西洋化」した銀行を享楽にふけっていると叱りつけ、アリババのような大手テクノロジー企業を弾圧している。

それが反映されているものの一つが、若者の失業率の高さだ。中国全土で、高学歴の新卒者数百万人が、まともなホワイトカラーの仕事を都市部で見つけるのに苦労している。7月には、16~25歳の求職者で無職の人が、過去最高の21.3%に上っているというデータが明らかになった。当局は翌月、この数字の公表を中止すると発表した。


政府はどう対応するのか


経済の方向性を変えるには、政治のイデオロギーを変える必要がある。だが、最近の中国共産党(CCP)による生活への締め付け強化と、習氏によるCCPへの締め付け強化から判断すると、その可能性は小さそうだ。指導部は、その必要はないとさえ主張するかもしれない。


習氏は基本的には成長を望んでいるが、成長すればそれでいいという考えではない。こうした考え方が、最近の最先端産業のブームが背景にあるのかもしれない。中国は半導体や人工知能(AI)、環境テクノロジーなどで国際競争力を維持しており、他国への依存度を下げている。


この考え方は、低迷する経済に対して政府が限定的な対応しかみせていない理由なのかもしれない。政府はこれまで、多額の資金投入はせず、借り入れ制限の緩和や金利のわずかな引き下げなど、周辺に手を加えるに抑えている。


中国の権力者は、選挙のサイクルに縛られない。そのため、長期的な視野に立つ余裕があったし、これからもその余裕をもち続けていくだろう。


しかし一方で、権威主義的な政治体制は、「高所得」国と同等の生活水準を実現するために必要な、柔軟で開放的な経済とは相容れないと主張する経済学者も多い。


習氏が効率的な統治よりイデオロギーを優先したり、実利より支配を優先したりする恐れもある。


多くの人々にすれば、経済がうまくいっていればそれでいいということになる。しかし、中国が3年間に及んだゼロコロナ政策を終わらせ、多くの人々が職を見つけるのに苦労し、自宅の価値が急落している状況では納得がいかないだろう。

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