標準治療
標準治療とは、科学的根拠〈エビデンス:あるテーマに関する試験や調査などの研究結果から導かれた、科学的な裏付け〉に基づいた観点で、現在利用できる「最良の治療」であることが示され、多くの患者に行われることが推奨される治療のことを指します。
標準治療は、世界中で行われた臨床試験の結果を多くの専門家が集まって検討し、有効性と安全性を確認して、最良であると合意が得られた治療法です。診療ガイドラインには、これらの合意の内容の詳細などがまとめられています。
また、「最新の治療」が最も優れているとは限りません。「最新の治療」が標準治療になるためには、それまでの標準治療より優れていることが証明される必要があります。そのため、開発中の試験的な治療として、効果や副作用などを調べる臨床試験が必要です。つまり、「最新の治療」というだけでは、「最良の治療」にはならないのです。
先進医療
先進医療とは、厚生労働大臣の承認を受けた高度な医療技術を用いた治療のことを指します。特定の大学等で研究・開発された医療技術が、臨床実績を上げて確立した後、厚生労働省内の先進医療会議で審査を受ける必要があります。審査は治療の有効性だけでなく、安全性や倫理性等についても行われ、一定の評価が得られた場合、厚生労働大臣によって先進医療と定められます。
先進医療は一定の有効性等が立証されていますが、公的医療保険の対象ではありません。
先進医療による治療は、患者本人の希望はもちろん、医師が必要性や合理性を認めた場合のみ行われます。また、先進医療として承認を受けた医療技術は、どの医療機関でも受けられるわけではありません。具体的には、有効性及び安全性を確保する観点から、医療技術ごとに一定の施設基準を設定し、施設基準に該当する保険医療機関は届出により保険診療との併用ができることとされています。
なお、「先進医療に係る費用」は全額自己負担となります。「先進医療に係る費用」以外の、通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)の費用は、一般の保険診療と同様に扱われます。つまり、一般保険診療と共通する部分は保険給付されるため、各健康保険制度における一部負担金を支払うこととなります。
自由診療
「自由診療」または「自費診療」とは、公的な医療保険が適用されない医療技術や薬剤による治療のことを指します。具体的には、以下のような特徴があります。
・自由診療は、健康保険や診療報酬が適用されない診療のことで、最先端の医療技術を利用できる診療も含まれます。
・自由診療の対象となる最先端の医療技術には、厚生労働大臣がまだ承認していないが、高い治療効果が期待できる最先端の治療方法や治療薬があります。
・自由診療は全額自己負担です。通常の保険診療と共通する診察・検査・投薬・入院等の部分も、健康保険がきかず全額自己負担になるということです。
・自由診療の費用は医療機関側が自由に設定できます。ただし、自由診療の場合であっても法律に従い、患者が納得して合意することが前提です。
ただし、自由診療を受ける際には以下のような注意点もあります。
・最先端の医療なので、不測の事態が起きる可能性が否定できないということが挙げられ る。
・自由診療は全額自己負担となるため、高額な治療費がかかる可能性がある。
自由診療を受ける際には十分な情報収集と考慮が必要です。また、必要に応じて医師や専門家と相談することも重要です。
最先端の医療技術には、以下のようなものがあります
AI医療:AI(人工知能)を用いた医療が注目されています。AIは画像診断から躍進し、画像診断支援に関するものが多く認可されています。AIは画像を分析し、より早く正確な診断に結びつけるシステムです。また、AIによる画像診断支援が普及していくことは間違いありません。
ロボット支援下手術:医師が内視鏡の画像を見ながらロボットアームに取り付けた手術器具を操作します。手術支援ロボットは出血量を減らし、術後の合併症を防ぐというメリットがあります。
遺伝子治療:遺伝子治療は、遺伝子に異常がある難病や、後天的に遺伝子に変異が起こるがんや血管・神経系の病気に対する治療法です。遺伝子治療は体内治療と体外治療の2種類があります。
再生医療:再生医療は、患者自身の細胞や他人由来のiPS細胞を用いて、損傷した組織や臓器を修復または再生する医療技術です。
これらの技術は日々進化しており、その進歩は驚異的です。しかし、これらの最先端技術を利用する際には、その効果やリスクを十分に理解し、専門家と相談することが重要です。
コメント