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半導体市場の今後の見通し



2023年~2024年の世界半導体市場


新型コロナ禍で2年以上続いた市場の活況から一転、2022年半ばごろを境に、需要にブレーキがかかった世界の半導体市場。2023年前半も、悪化する市況に回復の兆しが見えない状況が続くと予想されています。しかし、業界団体や市場調査会社は、世界の半導体市場が2024年には回復に転じるとの見通しを維持しています。



半導体市場の縮小に底打ちの兆し


2023年上半期(1~6月)の世界全体の売上高は2,432億ドルで、前年同期から2割減となった。しかし、月別の売上高の推移を見ると、2023年3月に2022年5月以来のプラスの伸び(前月比ベース)に転じて以降、6月まで4カ月連続で同プラスを維持している。



半導体市場が2024年に回復すると予想される主な理由


在庫の正常化

半導体市場は現在、供給過多と需要低迷の状況にあります。しかし、半導体国際業界団体や市場調査企業は、在庫の正常化期間を経て、2024年には市場が回復基調に転じるとの見通しを示している。


大型投資の活発化

市場の回復を見込み、世界各国で半導体分野への投資が相次いでいます。特に、製造面でアジア諸国に依存していた欧米では、供給安定と技術的リーダーシップを確保する目的で、工場新設・増設への大型投資が活発化している。


新たな半導体技術の開発

AI(人工知能)やスーパーコンピューターなどの先端技術にも対応可能な次世代半導体の開発や、より高性能な半導体を開発するための材料に関する研究も加速しています。これらの次世代半導体技術への取り組みも、市場回復を後押しするポジティブな要因となる。


半導体分野への投資が活発化している国は以下の通り


アメリカ:米国では「CHIPSおよび科学法」(CHIPSプラス法)が施行され、半導体の設計、製造、研究開発のための国内施設・装置の建設、拡張または現代化への補助金が提供されています。


台湾:台湾では素材メーカーが半導体製造工場が多く立地する地域での現地生産を進めています。


韓国:韓国では「国家先端戦略産業競争力強化および保護に関する特別措置法」が施行され、先端半導体を含む核心技術を対象に「戦略産業特化団地」を造成しています。


日本:日本でも半導体産業の強化に向けた取り組みが進められています。



CHIPSプラス法とは、アメリカの半導体産業と科学技術分野を支援するために制定された法律で、この法律は、中国との半導体および科学技術面での覇権争いを念頭に、米国の競争力を高めることを目指しています。


具体的には、CHIPSプラス法には以下のような内容が含まれています


半導体製造に対する資金援助:

この法律により、半導体製造に関する投資に対して、企業に直接的な資金援助や税額控除が与えられます。具体的には、5年間で約520億ドルが半導体業界を支援するCHIPSファンドに充てられます。


科学技術の研究向けの予算:

この法律では、科学技術の研究向けに約2,000億ドルが5年間で充てられることが決定されています。


半導体製造能力の強化:

この法律は、半導体製造能力の強化を目指しており、産業政策にとどまらず、経済安全保障を強化する狙いを含んでいます。



具体的な支援は以下のとおり

設備投資への補助:半導体および関連材料・装置の製造・組立・検査・先端パッケージに関して、米国内の施設および設備の新増設・刷新を財政的に支援する目的で行われます。具体的には、CHIPSプラス法により、5年間で約390億ドルが半導体業界を支援するために割り振られ、その中から特にレガシー半導体施設の新増設に20億ドルが割り当てられます。


研究開発への助成:半導体の研究開発に対しても資金援助が行われます。具体的には、5年間で約110億ドルが研究開発のために割り振られます。


税額控除:半導体製造・装置の設備投資に対して25%の減税が適用されます。

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