今回の会合は世界的に注目を集めるものとなっていました。そのきっかけとなったのが、 12月7日の参議院予算委員会に出席した植田日銀総裁による「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」という発言です。海外勢を中心にこの発言について早期の政策変更を示唆したものとの認識が広がり、一気の円買いを誘う展開となりました。
日銀は18―19日に開いた金融政策決定会合で、短期政策金利をマイナス0.1%に据え置くとともに、長期金利(10年国債金利)の誘導水準を「ゼロ%程度」として上限は1%を「めど」とするYCCの運用も維持した。フォワードガイダンスでは、マイナス金利の解除など政策正常化に関する言及は特になかった。
【発表後の日本市況】
円下落、日銀政策維持で修正観測巻き戻し
本日の東京市場では、日銀が金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決めたことを受け、円金利は低下(債券価格は上昇)し、ドル/円は上昇、日経平均先物は上げ幅拡大で反応。イベント前に浮上していた過度な警戒感が巻き戻されることとなった。
景気判断は「緩やかに回復している」を維持した。個人消費は「緩やかなペースで着実に増加している」から「緩やかな増加を続けている」に、設備投資は「緩やかに増加している」から「緩やかな増加傾向にある」にそれぞれ修正した。
日銀は来年1月の会合で、経済・物価見通しやリスク要因を基に先行きの金融政策運営の考えを四半期ごとに示す経済・物価情勢の展望(展望リポート)を公表する。それまでに収集される来年の賃上げを巡る動向などを踏まえて、賃金上昇を伴う2%物価目標を持続的・安定的に見通せる確度が一段と高まるかが焦点となる。
マイナス金利解除の実施は、春闘の状況を見極めたいという意識もあり、日本勢の見方としては、3月18日・19日か4月25日・26日がほとんどとなっています。特に経済・物価情勢の展望(日銀展望レポート)が公表される回にあたっている4月会合が本線と見られています。短期金利市場では4月の会合までに利上げが行われるという確率が約75%まで上昇。通信社によるエコノミスト調査では65%以上にとなっています。
植田日銀総裁の会見が注目
植田総裁が午後に行う記者会見では、物価目標実現への確証度合いやチャレンジング発言の真意などについての発言から、正常化への距離感を探ることになる。また、年末から年始にかけては、来年の春闘に関する情報や内外の経済・物価動向、日銀幹部らの発言への注目度が増しそうだ。
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