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英半導体設計大手アームが、近く米ナスダック市場に上場




アームはどのような企業か


・アームは、イギリスのケンブリッジに本社を置く、半導体の設計図を提供するファブレス企業です。同社は、自社で半導体を製造せず、技術を知的財産権として各社にライセンス提供しています。同社は、ARMアーキテクチャと呼ばれるRISCプロセッサの設計を行っており、スマートフォンやパソコンなどの多くの製品に使われています。


・アームは、低消費電力で高性能なプロセッサを開発することで、未来のコンピューティングを築くことをビジョンとして掲げています。同社は、用途特化型演算で、コンシューマ機器の効率性とパフォーマンスの限界を押し広げることを目指しています。


・アームは、AI(人工知能)に欠かせないデータセンター向け半導体にも照準を合わせています。同社は、2021年9月に次世代データセンター用半導体の設計技術「ネオバースV2」を発表しました。この技術は、5Gネットワーク向けにトップクラスの性能、ワット毎性能、スケールを実現するとしています。


・アームは、グラフィックやマルチメディアにも強みを持っています。同社は、Arm Immortalis / Mali GPUとISPのMali Cameraシリーズという製品群を提供しており、AR/VR/XRやゲームなどの分野で活用されています。



ソフトバンクグループとアームの関係


ソフトバンクグループは、2016年にアームを約3.3兆円で買収し、子会社化。当時、孫正義会長兼社長執行役員は、「世界一の企業を買収した」「これで人類の未来に関われる」とアピールしていました。

しかし、2020年にソフトバンクグループの業績が厳しくなり、傘下のビジョン・ファンドの投資先評価額が大きく下がりました。そのため、同年9月にアームの全株式を米国の半導体大手NVIDIAに約4.2兆円で売却することを発表しました。

しかし、この売却は独占禁止法やイギリス政府の懸念などにより、承認されませんでした。そのため、2022年2月にソフトバンクグループとNVIDIAは売却契約を解消した。

孫正義会長兼社長執行役員は、「オリジナルプランに戻った」「元々は手放したくなかった」と述べていました。

ソフトバンクグループは、再上場後もアームが引き続き連結子会社であることを想定しています。孫正義会長兼社長執行役員は、「できるだけ、あんまり売りたくないなあと、内心思っている」とも語っています。


アームがアメリカ市場に上場する影響


・半導体の設計図を提供するビジネスモデルで、スマートフォンやパソコンなどの多くの製品に使われるCPUの世界シェアを約9割としています。上場によって、アームはさらに資金力を強化し、半導体技術の開発やイノベーションに投資することができるでしょう。これは、半導体産業の競争力を高めるとともに、消費者にとってもより高性能で低消費電力の製品が提供される可能性があります。


・アームの上場は、ソフトバンクグループにとっても大きなメリットがあります。ソフトバンクグループは、アーム株の大半を保有し続ける予定ですが、上場によってアーム株の価値が上昇すれば、ソフトバンクグループの資産価値も高まります。また、ソフトバンクグループは、AIやロボティクスなどの新興テクノロジー分野に多額の投資を行っており、アームとの連携によるシナジー効果を期待しています。


・アームの上場は、イギリス政府にとっても重要な意味を持ちます。アームはイギリスのテクノロジー産業の「至宝」とも呼ばれており、イギリス政府はアームが米国企業に買収されることを懸念していました。そのため、イギリス政府は、アームがロンドン証券取引所にも上場することを望んでおり、ソフトバンクグループと協議を行っていたとされています。しかし、アームは米国市場への単独上場を決めたため、イギリス政府は失望したと報じられています。


アーム上場の不安要素


・アームは、中国での取引関係において、支払い遅延や経営権争いなどの問題に直面しています。アームは、中国での売上高の約4分の1をアーム・チャイナという独立した経営形態の子会社に依存しており、その安定性や信頼性に疑問が残る。


・アームは、米国の中国向け半導体輸出規制によって、中国市場での競争力を失う可能性があります。アームは、自社の技術を中国の半導体企業にライセンス提供していますが、米国政府の制裁によって、その範囲や内容が制限される恐れがある。


・アームは、中国国内においても、自社の技術に代わる国産技術の台頭に対抗しなければなりません。中国政府は、半導体産業の自立化を目指しており、アームと競合するような技術開発を支援しています。アームは、中国でのシェアや収益を維持するために、イノベーションや差別化を図る必要がある。

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