まず、日経電子版のサイトによると2023年1月から11月までの期間で、値上がり率の大きい業種は以下の通りです。
業種 値上がり率
鉄鋼 +41.8%
海運 +40.5%
鉱業 +38.1%
石油・石炭 +35.7%
銀行 +33.3%
一方、値上がり率の小さい業種は以下の通りです。
業種 値上がり率
情報・通信 -0.9%
精密機器 +0.5%
医薬品 +1.0%
電気機器 +1.7%
サービス +2.0%
次に、株探のサイトによると、2023年11月30日の終値ベースで、業種別の騰落率のランキングは以下の通りです。
業種 騰落率
海運業 +2.01%
証券・商品 +1.46%
医薬品 +1.21%
電気機器 +1.11%
鉱業 +0.90%
ガス -0.77%
水産 -0.79%
食品 -0.80%
繊維 -0.83%
パルプ・紙 -0.84%
2023年の株式市場の動きについて
まず、2023年の世界経済は、米欧を中心に利上げの累積効果が顕在化し、成長率は減速すると見られています1。しかし、コロナウイルスの感染拡大による経済活動の落ち込みは回復しており、深刻な不況に陥ることはないと考えられます。
一方、2023年の日本経済は、海外の景気減速で成長率はいったん鈍化するものの、年後半は米国、ユーロ圏、中国などで景気が持ち直し、成長ペースは回復に向かうと見込まれています。実質GDP成長率は前期比年率で、2023年1-3月期が+1.7%、4-6月期が+0.6%、7-9月期が+0.8%、10-12月期が+1.5%の想定です。
次に、2023年の株式市場の動きについてですが、世界経済の成長減速を主因に、しばらくレンジ相場が続くものの、その後は世界経済の持ち直しとともに、相場は回復に向かうという見方が多いようです。具体的な数値は、2023年12月末の着地水準として、日経平均株価が32,500円、TOPIXが2,330ポイントという予想があります。これは、2022年12月28日の終値ベースで、日経平均株価が+8.5%、TOPIXが+9.4%の上昇となります。
ただし、注意すべきは日銀の金融政策です。日銀が2023年6月にマイナス金利を解除する一方、長短金利操作を継続するとみられていますが、市場との対話が不十分なまま政策が変更された場合や、長短金利操作を撤廃に追い込まれた場合などは、ドル安・円高が急速に進み、株価は予想値を大きく下回る可能性もあります。
2023年の日本経済について
2023年の日本経済は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の落ち込みが回復し、インバウンド需要の増加などの好材料が株価を押し上げたことで、堅調な成長を遂げました。実質GDP成長率は前年比で約1.7%と、2022年の0.9%の約2倍になりました。
しかし、2023年後半には、海外経済の減速や物価上昇圧力の緩和などが景気の伸びを鈍らせました。特に、中国や米国の景気減速は、日本の輸出環境を悪化させました。また、物価上昇率に賃金上昇率が追い付かず、国民生活は圧迫され続けました。実質個人消費はほとんど伸びず、内需の柱が弱かったです。
2024年の日本経済は、2023年の反動や人口減少、高齢化の影響などで、成長率は約0.6%と大きく減速すると見込まれています。海外要因、国内要因の双方から日本経済への逆風が強まることが予想されます。ただし、通信環境などのインフラの整備や新技術の普及などによって、生産性の向上や付加価値の高い製品やサービスへの移行が進むことで、成長率の下支えになると考えられます。
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