パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は1日、金融当局として過去40年で最も積極的に進めた金融引き締めサイクルが終了した可能性があるとの見解を示唆した。当局は同日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で2回連続の利上げ見送りを決めた。
議長は会合後の記者会見で、「われわれが答えを求めているのは『さらに引き上げるべきか』という問いだ」と述べるとともに、「ペースを落とすことで、一段の行動が必要な場合、どの程度の行動がさらに必要なのかよりよく認識できている」と話した。
FOMCは同日まで2日間の日程で開いた会合でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.25-5.5%に据え置いた。当局者は声明で、もう1回の利上げの可能性を残しつつも、最近の米中長期国債利回りの上昇で追加利上げの誘因が減じる可能性を示唆した。
各市場の反応
株式市場
NYダウ 工業株30種 33,274.58 +221.71
S&P 500種 4,237.86 +44.06
ナスダック 総合指数 13,061.47 +210.23
債券市場
FRBの利上げ打ち止め観測が強まり、10年債利回りは4.75%を2週間ぶりに下回りました。また、財務省が四半期入札の規模拡大ペースを鈍化させると発表したことも利回り低下に寄与しました。
為替市場
FRBの利上げ休止シナリオがドル安円高を誘発しました。日本銀行のイールドカーブ・コントロール(YCC)再柔軟化決定後、前日には1ドル151円70円台にまで達していたドル円レートは、FOMC後に150円台後半までドル安円高が進みました。
金融先物市場
来年1月までに織り込む追加利上げの確率は約25%と、10月31日時点の40%前後から低下しました。一方、年内利下げの期待も後退しました。
市場が利上げ見送りに反応した理由
利上げ見送りは、金融政策のハト派的な姿勢を示すものとして、株式市場や債券市場に歓迎されました。株式市場では、金利が低く抑えられることで、企業の借入コストが低下し、利益が増加するとの期待が高まりました。債券市場では、利上げの打ち止め観測が強まり、長期金利が低下しました。これは、債券価格の上昇を意味します。
利上げ見送りは、米国経済の減速懸念を緩和するものとして、為替市場に影響を与えました。米国経済が強い伸びを続けるとの見方が後退し、ドル高圧力が緩和されました。これは、ドル建て資産に投資する外国人投資家にとっては不利な要因です。そのため、外国人投資家はドル建て資産から円建て資産に資金を移動させる傾向が強まり、ドル安円高が進みました。
11月相場の傾向
過去の動きを見ると、日経平均株価は10月下旬から12月にかけて上昇する傾向にあります。11月末から翌年3月までの騰落率は、過去62年平均で+5.8%、上昇確率は72.6%に達します。
11月の30日のうちで騰落率が最も高いのは22日の68.42%で、最も低いのは7日の32.76%です。22日は「いい夫婦の日」や「長野県りんごの日」などの記念日がありますが、これらが株価に影響を与えるかどうかは不明です。
11月は多くの日本の上場企業が中間決算発表のピークを迎えます3。個別銘柄の株価にインパクトを与える材料になることもありますが、市場全体に与える影響は限定的と考えられます。
11月第4木曜日(今年は11月25日)はアメリカでは感謝祭です。この日は米国株式市場が休場となりますが、その前後に株価が上昇する「感謝祭ラリー」という現象が起こることがあります。これは消費者心理や資金流入などの要因が関係していると言われています。
日経平均株価の月間騰落率(過去10年間の平均)を見ると、11月が最も高く、プラス4%超えでした。過去10年間で、日米ともに10月下旬から12月にかけて株価が上昇する傾向がありました。
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