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【SHEIN】と【UNIQLO】売上と企業価値の比較


8月28日、米国16州の共和党系司法長官は米証券取引委員会(SEC)に書簡を送り、中国のインターネット通販大手「SHEIN(シーイン)」が新規株式公開(IPO)する可能性を見据え、サプライチェーン(供給網)で強制労働が行われていないか監査を求めています。
IPO間近と言われ、突如アパレル業界に旋風を巻き起こしているShein(中国)と日本のアパレル最大手ユニクロについて売上や企業価値などの観点から比較分析を行います。

売上

✳️Shein 2022年売上:3兆600億円

Sheinは、特に若い世代を中心に急成長しています。オンライン販売に特化し、短期間で多くの新商品を投入する戦略が功を奏しています。

✳️ユニクロ 2022年売上:2兆1300億円

ユニクロは、品質と価格のバランスに優れた商品を提供することで、幅広い年齢層から支持を受けています。


Sheinのビジネス戦略


✳️オンライン集中

Sheinはオンライン販売に特化しています。これにより、物理店舗の維持コストを削減し、より多くの地域に短期間で展開することが可能です。また、データ分析を駆使して、顧客の購買傾向や需要をリアルタイムで把握し、商品の在庫や価格設定を最適化しています。


✳️高頻度の新商品リリース

Sheinは、顧客の興味を引くために週に数回という高頻度で新商品をリリースしています。これにより、顧客は常に新しい商品を期待でき、リピート購入が促されます。また、高頻度の新商品リリースは、競合他社が追随するのを難しくしています。


✳️SNSマーケティング

Sheinは、インスタグラムやTikTokなどのSNSを活用したマーケティングが非常に成功しています。特に、流行に敏感な若いZ世代(1997-2012)をターゲットにしたインフルエンサーとのコラボレーションが多く見られます。これにより、ブランドの認知度が高まり、口コミによる自然な拡散が促されています。




ユニクロのビジネス戦略


✳️店舗とオンラインの融合

ユニクロは、店舗での購買体験とオンラインショッピングの便利さを組み合わせています。例えば、店舗で商品を試着し、サイズや質感を確認した後、オンラインで購入するといったフローが可能です。また、オンラインで商品を選び、店舗で受け取る「クリック・アンド・コレクト」サービスも提供しています。


✳️品質と価格のバランス

ユニクロは、高品質な素材と独自の技術を用いて、手頃な価格で商品を提供しています。例えば、ヒートテックやエアリズムといった独自の素材技術を開発し、これをリーズナブルな価格で提供しています。これにより、多くの消費者から信頼されています。


✳️環境への取り組み

ユニクロは、サステナビリティに配慮した商品や活動を積極的に行っています。例えば、リサイクル可能な素材を使用した商品ラインナップがあり、また、店舗での古着回収プログラムを実施しています。これにより、環境への影響を最小限に抑えつつ、社会貢献も果たしています。





成長速度: 一時的なブームか持続可能な成長か

✳️Shein

Sheinの高い成長率は、主に若いZ世代(1997-2012)をターゲットにした効果的なSNSマーケティングと、ファストファッションに特化したビジネスモデルに起因しています。しかし、このような急速な成長は一時的なブームである可能性も考慮する必要があります。特に、ファストファッション業界はトレンドが変わりやすく、持続的な成長を達成するのは容易ではありません。

✳️ユニクロ

ユニクロの成長率は比較的安定しています。これは、品質の高い商品と手頃な価格設定、さらには環境に配慮した製品などで、多くの消費者から支持を受けているからです。


企業ブランド価値

✳️Shein

Sheinの企業価値がユニクロの2倍になります。市場がSheinの将来的な成長ポテンシャルを非常に高く評価していることを示しています。しかし、このような期待値が高い状態は、失望につながるリスクも考慮しなければいけません。

✳️ユニクロ

ユニクロの企業価値は売上と比較しても安定しています。これは、持続可能なビジネスモデルと確立されたブランド力が評価されているためです。


戦略の持続性: 新興市場での展開

✳️Shein

Sheinは新興市場での展開において、地域に特化したマーケティング戦略を採用する可能性が高いです。しかし、地域ごとの文化や法規制に適応する能力が試される場面も多く、その柔軟性が今後の成長に大きく影響するでしょう。

✳️ユニクロ

ユニクロはすでに多くの国で店舗を展開しており、新興市場での経験も豊富です。そのため、新興市場においても持続可能な戦略を展開する能力があります。しかし、地域ごとのニーズに応じた商品開発やマーケティングが今後の課題となるでしょう。


まとめ

 SHEINの急成長の裏にはサプライヤーネットワークの拡充とそれに伴うデータの活用があることが分かっています。リアルタイムで消費者の需要を把握し、生産計画を柔軟に変え、サイト上の商品の掲載を変更するダイナミックさは、ECサイトならではの強みであり、国際展開しやすく拡張性の高いビジネスモデルです。

 同時に、近年のSDGsやESGの課題、著作権の問題や米中間の政治的問題などが複雑に関係してきており、米国でのIPOに向けたSHEINのガバナンス強化や透明性強化の取り組みが課題となりそうです。



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