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次世代半導体の開発を目指すラピダスが、年内にアメリカへ進出



今回、ラピダスがアメリカの西海岸で新たに拠点を構える背景には、シリコンバレーに本社を構えるGoogleやAppleなどGAFAMと呼ばれる巨大IT企業を将来の顧客に見据えていることがある。顧客のニーズを企画・設計段階から汲み取り、スピーディーに開発・製造につなげるには、アメリカでマーケティング拠点を設立することが欠かせないと判断した。


ラピダスは、米IBMとの提携により、2nm世代の先端半導体の製造技術を獲得しました。

これは、世界で最も微細な半導体技術であり、高速・低消費電力・高集積の特徴を持ちます。この技術を使えば、自動車や通信、医療、防衛などのさまざまな分野で革新的な製品やサービスを提供できる可能性があります。ラピダスは、これらの分野で海外の需要に応えるために、北海道千歳市に工場を建設し、2027年の量産開始を目指しています。海外進出の影響としては、日本の半導体産業の国際競争力の向上や、日本の経済成長の牽引役となることが期待されます。


一方で、ラピダスの海外進出には、いくつかの課題やリスクも伴います。

まず、ラピダスは、政府や出資企業からの巨額の支援を受けていますが、その返済や収益化の見通しは不透明です。半導体は、技術革新が激しい分野であり、ライバル企業に追い抜かれる可能性もあります。また、半導体は、経済安全保障上の戦略物資となっており、海外進出には、政治的な要因や規制などの障壁もあります。さらに、半導体の製造には、高度な技術や人材が必要ですが、日本では、半導体の教育や研究が十分に行われていないという指摘もあります。ラピダスは、海外進出のために、これらの課題やリスクに対処する必要があります。


ラピダスの海外進出には、大きな可能性と課題があります。ラピダスは、日本の半導体産業の再興の一助となることが期待されますが、そのためには、政府や産業界との連携や、技術開発や人材育成などの取り組みが重要になると思います。



日本の半導体産業の縮小


日本の半導体産業は、1988年に世界シェアの50.3%を占めていたのに対し、2019年には10%まで縮小しました。 この傾向が続けば、2030年には日本のシェアはゼロになるという予測もあります。 日本の半導体産業が衰退した理由としては、日米半導体協定による不利な貿易条件、主要マーケットの移り変わりに対応できなかったこと、戦略思考の欠如、デファクト製品の製造ができなかったことなどが挙げられます。 一方で、日本は半導体製造装置や材料の分野では高いシェアを維持しており、化学分野やクリーンルーム技術などの強みを持っています。 日本の半導体産業が巻き返すためには、海外メーカーとの技術力の差を埋める努力や、新しいトレンドに乗る戦略が必要です。



日本の半導体産業が復活するためには


技術開発の加速

日本は、先端半導体製造技術の共同開発やファウンドリの国内立地を推進することで、技術力の向上と供給安定化を図る必要があります。 また、デジタル投資の加速や先端ロジック半導体の設計強化も重要です。 さらに、半導体技術のグリーンイノベーション促進も、2050年カーボンニュートラルの目標達成に貢献できます。


人材育成の強化

日本は、半導体の教育や研究を充実させることで、優秀な人材を育成する必要があります。 半導体は、技術革新が激しい分野であり、人材の流動性や多様性も重要です。 そのため、半導体産業における女性や外国人の活躍の場を広げることも必要です。


政策支援の拡充

日本は、半導体産業に対する政策支援を拡充することで、投資や研究開発を促進する必要があります。 例えば、半導体工場の新増設に補助金を投入する改正法が2021年12月に成立しました。 しかし、これだけでは不十分であり、今後10年で10兆円規模の官民投資や税制優遇措置など長期にわたる支援が必要だという意見もあります。


国際連携の強化

日本は、米国や欧州などの同盟国との半導体に関する国際連携を強化することで、経済安全保障や技術革新に寄与する必要があります。 例えば、米国は、日本や欧州などとの半導体セキュリティ基金の設置や、多国間半導体セキュリティイニシアチブの立ち上げを提案しています。 また、欧州は、日本や米国などとの半導体産業の協力を強めることを目指しています。


日本の半導体産業が復活するためには、技術開発、人材育成、政策支援、国際連携の4つの柱を中心に、官民一体となって取り組むことが必要であると言えます。

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